日本と台湾の外食産業
1月9日に台南で日台交流会が開催され、テーマは「外食産業」でした。
食文化は日本と台湾の交流において重要な要素であり、外食産業を通じて両国の違いや共通点が見えてきます。今回の交流会では、参加者が好きなチェーン店や台南に進出している日本の外食産業、台湾で有名な外食企業、日本・台湾に進出してほしいチェーン店、夜市と日本の屋台文化の違い、そして台南に牛丼チェーンがない理由などについて話し合いました。
活発な意見交換が行われ、日本と台湾の外食産業の特徴が浮き彫りになりました。本記事では、それぞれのテーマごとにまとめを紹介します。
1月9日 台南日台交流会 報告記事

みなさんの好きなチェーン店(日台)

参加者が好きなチェーン店として、台湾では「50嵐」「八方雲集」「四海遊龍」「海底撈」「這一鍋」「石二鍋」「碳佐麻里」「丹丹漢堡」「TKK」「麻古」「名東」「東州」「億品鍋」「輕井澤」などが挙げられました。一方、日本のチェーン店として「すき家」「鳥貴族」「日高屋」「なか卯」「サイゼリア」「温野菜」「スシロー」が人気でした。
台湾では手軽な価格で楽しめる鍋料理や小吃が人気であり、特に「海底撈」や「石二鍋」などの鍋料理チェーンは、家族や友人との団欒の場として定着しています。
また、「八方雲集」「四海遊龍」などの餃子チェーンは、リーズナブルな価格と手軽さから幅広い年齢層に愛されています。さらに、台湾独自のハンバーガーチェーン「丹丹漢堡」やフライドチキンで有名な「TKK」も高い人気を誇ります。
一方、日本のチェーン店では、牛丼の「すき家」、リーズナブルな居酒屋の「鳥貴族」、ラーメンと定食の「日高屋」などが挙げられました。また、回転寿司の「スシロー」、ファミレスの「サイゼリア」なども、日本ならではの食文化を象徴するチェーンとして支持されています。
日本では手軽に食事を済ませるスタイルのチェーンが人気である一方で、台湾では食事を楽しむ時間が長く、鍋料理やシェアしやすいメニューが好まれる傾向があることが分かりました。
台南にある日本からの外食産業

台南には多くの日本の外食チェーンが進出しており、「Joyful」「一風堂」「さぼてん」「スシロー」「くら寿司」「丸亀製麺」「大戸屋」「コメダ珈琲店」「やよい軒」「がってん寿司」「31アイス」「串家物語」「よってこ屋」「モスバーガー」「ロイヤルホスト」「CoCo壱番屋」「花月嵐」「金子半之助」「しゃぶ葉」「風月」「勝牛」「ミスタードーナツ」「Grazia」「和心とんかつあんず」などが挙げられました。
特に、日本のラーメンチェーンである「一風堂」や「花月嵐」は、日本の味をそのまま台湾に持ち込み、多くのラーメン好きから支持を得ています。また、寿司チェーンの「スシロー」「くら寿司」「がってん寿司」なども、台湾人の寿司人気に応える形で店舗を拡大しています。
日本の味を忠実に再現することが求められる一方で、台湾人の好みに合わせたアレンジメニューも提供されており、日本の食文化が台湾に浸透していることが実感されました。
さらに、「コメダ珈琲店」や「ロイヤルホスト」などの日本の喫茶文化やファミリーレストランも台南に定着しつつあり、食事だけでなくゆったりと過ごせる空間の需要が高まっています。
今後、より多くの日本の外食チェーンが台南に進出することが期待されています。
台湾で有名な外食産業の会社

台湾の有名な外食産業として、「統一」「義美」「王品」「瓦城」「漢來」「開飯」などが挙げられました。
「統一」はコンビニ事業のセブンイレブンや即席麺の「統一麺」など、幅広い食品関連事業を展開しており、台湾の食文化において欠かせない存在となっています。
また、「義美」はお菓子メーカーとしてだけでなく、ファストフードやカフェチェーンも展開しており、安全・健康志向の強いブランドイメージを持っています。
「王品グループ」は台湾で最も成功している高級レストランチェーンの一つで、「TASTy」「王品牛排」「西堤牛排」などのブランドを展開し、高品質なサービスを提供しています。「瓦城」はタイ料理レストランの代表格として知られ、本格的なタイ料理を提供し、台湾人にも人気があります。
「漢來」は高級ホテルレストランを中心に展開し、「開飯」は台湾家庭料理をモダンなスタイルで提供するチェーンとして、多くの人々に親しまれています。
台湾の外食産業は、伝統的な台湾料理を提供するだけでなく、世界各国の料理を取り入れながら進化しており、多様な選択肢が存在することが分かりました。
台湾に来てほしいチェーン店

台湾に進出してほしい日本のチェーン店として、「Wendy’s」「叙々苑」「AFURIラーメン」「ガスト」「てんや」「なか卯」「日高屋」「磯丸水産」「ショーグンバーガー」「道とん堀(お好み焼き)」が挙げられました。
特に、ラーメンの「AFURI」や定食系の「日高屋」など、日本の手軽な食事が楽しめるチェーンが台湾でも人気を集めそうです。また、高級焼肉チェーンの「叙々苑」や、お好み焼き専門店の「道とん堀」なども、台湾の食文化に馴染む可能性が高いです。
一方、日本に進出してほしい台湾のチェーン店として、「八方雲集」「碳佐麻里」「丹丹漢堡」「海底撈」などが挙げられました。特に「八方雲集」は、日本人の餃子好きにもマッチしやすく、進出の期待が寄せられています。「八方雲集」、「海底撈」はすでに日本にも展開しているものの、より多くの地域での展開を希望する声がありました。
夜市・屋台と日本の屋台文化の違い

台湾の夜市と日本の屋台文化の違いについて、以下の点が挙げられました。
台湾の夜市の特徴
- 年中営業しているため、いつでも訪れることができる。
- 価格がリーズナブルで、多様な食べ物が楽しめる。
- 飲食店以外にも服屋や雑貨店、ゲーム屋台が充実している。
- 屋台の座席スペースがあり、その場でゆっくり食事ができる。
- 台湾ソーセージや臭豆腐など、台湾独特のストリートフードが豊富。
- クレーンゲームや占いコーナーがあり、娯楽の場としても機能している。
- ペット用のおやつやアクセサリーショップもあり、生活の一部になっている。
一方、日本の屋台文化は、主にお祭りやイベントの時期に限定的に開かれるのが特徴です。屋台の数は少ないものの、たこ焼きや焼きそば、お好み焼きなど、日本ならではのメニューが楽しめます。また、日本の屋台は基本的に持ち帰りが多く、その場で食べるためのスペースが限られていることが多いです。
台湾の夜市は、食べ物だけでなく、買い物や娯楽の場としても機能しているため、日本の屋台とは大きく異なるスタイルを持っていることが分かりました。
なぜ台南には牛丼チェーン店がない?

台南には牛丼チェーン店が少ない理由について、参加者から以下の意見が出ました。
台南では牛肉湯の文化が根付いているため、牛丼の需要が少ない。
台南では朝食として牛肉湯(牛肉スープ)を食べる習慣があり、牛肉を使った料理の選択肢がすでに豊富に存在しています。そのため、日本式の牛丼はそれほど必要とされていないのではないかという意見がありました。
台湾のお米は牛丼に適していないと感じる人が多い。
台湾の米は粘り気が少なく、日本の牛丼のようにタレが染み込んだご飯との組み合わせが好まれにくいという指摘がありました。
牛肉を使った麺料理の方が人気がある。
台湾では「牛肉麺」が非常に人気であり、牛肉を使った料理は汁物や麺類として消費されることが多いため、丼スタイルの牛肉料理はなじみにくいと考えられています。
焼肉文化の方が好まれる。
台湾では焼肉文化が発達しており、牛肉を焼いて食べるスタイルの方が好まれる傾向があります。特に「碳佐麻里」などの焼肉チェーンが人気を集めているため、牛丼のようなスタイルよりも、焼肉として楽しむ方が一般的です。
丼に牛肉だけを載せるのは寂しいと感じる人が多い。
台湾では、食事はバランスよく副菜とともに楽しむことが多く、一品だけを食べる習慣があまり根付いていません。そのため、シンプルに牛肉とご飯だけの牛丼は、物足りないと感じる人が多いという意見がありました。
これらの理由から、台南では牛丼チェーンの市場が成立しにくい状況が続いていると考えられます。しかし、日本の牛丼チェーンが台湾の食文化に合わせた形でアレンジを加えれば、新たな可能性が生まれるかもしれませんね。
まとめ
今回の交流会を通じて、日本と台湾の外食産業の違いや共通点が浮かび上がりました。台湾では鍋料理や夜市文化が根付いており、日本では牛丼や居酒屋チェーンが人気です。また、台南には多くの日系チェーンが進出している一方で、牛丼チェーンの展開は少なく、地域の食文化の影響が大きいことも分かりました。今後も日台の食文化の交流を深め、互いの国で新しい食の魅力を発見していきたいと思います。
※なお、本記事は台南日体交流会で話し合った内容ですので、実際とは異なる部分もあるかと思います。