台湾の冬は鍋料理を楽しもう
台湾と日本の鍋料理には、寒い季節にみんなで囲んで食べる温かい食文化が共通しています。日本ではおでんやすき焼き、しゃぶしゃぶなどが人気で台湾にもありますが、台湾独特の鍋料理も数多くあります。
各地で異なる食材やスパイスを使った多彩な鍋が楽しまれており、その土地ならではの味わいを提供しています。一人鍋を安く食べれるお店も街中にあり手軽に食べれるので、台湾を訪れる際はぜひその豊かな鍋文化に触れてみてください。
10月の台南日台交流会で日本と台湾の鍋料理のテーマでお話ししました。今回は交流会でみんなでお話しした台湾の鍋料理のおすすめを6つ紹介したいと思います。また、台湾でよく使われる具材や鍋についての小ネタも少し紹介いたします。
台湾のおすすめの鍋料理を6つ紹介
牛肉爐(牛肉鍋)
台南では牛肉湯が有名ですが、牛肉湯のお店で牛肉爐を提供しているところも多いです。牛肉の牛骨とたっぷりの野菜からとったダシで、漢方薬や薬膳が使われ、うまみが強くおすすめの鍋料理です。牛肉は台南では「常温肉(溫體肉)」が使われ、牛肉がとても新鮮なのでしゃぶしゃぶの形式で、さっと火を通して食べるのが一番美味しいです。白米もしくは肉燥飯(台南の魯肉飯)と共に食べるのが一般的で、お鍋のスープと相性が抜群。お店によってスープのダシも異なり、鍋のつけダレも数種類用意されていたりして味のバリエーションも豊富。いろんなお店で調味料や具材を変えつつ、食べ比べするのも楽しみの一つです。
羊肉爐(羊肉鍋)
羊肉爐は、羊肉(ヤギ肉)を使った台湾の定番鍋料理で、冬季に楽しめることが多い一品です。独特な香りを持つ羊肉を、漢方薬と煮込んで提供されることが一般的で、羊肉には身体を温める効果があるため、冷え性改善を目的に食べられることが多いです。八角や生姜、枸杞などの薬膳と一緒に煮込むことで、臭みが抑えられ、滋味深い味わいが特徴です。濃厚なスープに羊肉の旨味が染み込み、体も心もポカポカと温めてくれる逸品です。
沙茶爐(サーチャ鍋)
沙茶爐は、台湾特有の沙茶(サーチャ)ソースをベースにした鍋で、独特の香ばしい風味が特徴です。ピーナッツ、にんにく、唐辛子などで作られる沙茶ソースは、甘さと辛さが調和した風味豊かで、スープに入れると牛肉や海鮮などの食材と絶妙な相性を見せます。沙茶ソースが持つ濃厚な旨味がスープに溶け込み、一度食べるとクセになる味わい。台湾の一般家庭でも定番で、みんなで囲んで楽しむ食卓の定番料理です。
酸菜白肉鍋
酸菜白肉鍋は、酸菜と呼ばれる発酵した白菜を使った鍋料理で、爽やかな酸味が特徴です。豚肉と一緒に煮込まれたスープは、酸菜の酸味でさっぱりとした味わいが楽しめ、脂の多い豚肉もさっぱりと食べられるのが魅力です。酸菜の発酵による複雑な旨味と豚肉の甘みがスープに溶け込み、深みのある味が広がります。台湾では特に寒い季節に好まれ、酸菜の発酵効果で消化を助ける効果もあるとされています。
薑母鴨(ジャンムーヤー)
薑母鴨は、生姜と鴨肉をたっぷり使った鍋りょうりで、冷え性対策や風邪予防のために特に冬に好まれる料理です。大量の生姜と漢方薬が入ったスープは、強い風味がありながらも、飲むと体がポカポカと温まります。鴨肉は、しっかり煮込むことで柔らかくなり、生姜の辛みと相まって、体を内側から温めてくれます。薑母鴨は健康志向の方にも好まれ、台湾では冬になると多くの専門店がにぎわう人気の鍋料理です。
麻辣火鍋
麻辣火鍋は、四川発祥の激辛鍋料理ですが、台湾でも非常に人気があります。豆板醤や唐辛子、花椒などのスパイスがたっぷり使われており、辛さと痺れが特徴のスープは、辛いもの好きにはたまらない一品です。牛肉、海鮮、野菜などさまざまな具材を辛味と香り豊かなスープで煮込むため、食べるごとに異なる旨味を楽しめます。辛さの中に深いコクがあり、麻辣火鍋独特の「辛いけれどやみつきになる」魅力を持っています。
台湾で食べる鍋に入っている具材
台湾の鍋には、日本ではあまり見かけない独特の具材がたくさん入っています。それぞれ簡単に紹介します。
魚漿
魚漿は、魚のすり身をベースにしたペースト状の具材です。すり身を練り、成形して鍋に入れると、ふんわりとした食感が楽しめます。シンプルな味わいで、スープの旨味を吸収するため鍋料理にぴったりです。
米血
米血は、もち米と豚の血を固めた台湾独特の具材で、モチモチとした食感が特徴です。味はそれほど強くなく、スープの味を吸い込みます。鍋に加えると、コクが増し、食べ応えもアップします。
鴨血
鴨血は、鴨の血を固めて作られた台湾独特の具材です。ゼリー状で、見た目はレバーに似ていますが、クセが少なく滑らかな食感が特徴。スープの味をよく吸い込み、噛むとじんわりと旨味が広がります。台湾では麻辣火鍋などで定番の具材として人気があり、滋養強壮にも良いとされています。
貢丸
貢丸は、豚肉や魚を使った弾力のある肉団子です。かみ応えがあるのが特徴で、スープに加えると独特の旨味が加わります。台湾では鍋の具材として定番です。
魚餃
魚餃は、魚のすり身を薄い皮で包んだ餃子状の具材です。さっぱりとした風味で、スープに入れるとふんわりと柔らかくなるのが特徴。魚の香りが鍋にほんのり広がります。
燕餃
燕餃は、鳥の巣に見立てた形のすり身入り団子で、魚漿にもち米を混ぜて作られることもあります。スープの中で柔らかくなり、独特の食感と味わいを楽しめます。
蛋餃
蛋餃は、卵で薄く包んだ餃子のような具材で、主に豚肉や魚のすり身を卵で包んで作られます。卵のふんわりとした食感と具材のコクがマッチし、鍋に入れるとスープにまろやかさが加わります。
台湾の鍋に関する小ネタ
鍋のシメについて
日本では鍋の締めとして雑炊やうどんを楽しむことが多いですが、台湾ではあまり行儀の良い行為とは言えず、鍋の残りのダシを使って雑炊を作る人は少数のようです。ですがメインお具材として乾麺やインスタント麺を入れて食べるお店はよくあります。
カフェで食べる鍋
台湾のカフェでは、鍋料理が意外な楽しみ方として提供されることがあります。おしゃれな雰囲気の中で、小鍋スタイルの一人鍋や季節限定の創作鍋を味わえるカフェもあり、若者に人気です。チェーン店だと、「異人館」「三皇三家」「翰林茶坊」のお鍋が人気が高いようです。
苦手な食材
台南日台交流会で話に出た日本人の意見ですが、台湾の鍋に入っている具材の「玉米(とうもろこし)」、「芋頭(タロイモ)」、「番茄(トマト)」、「米血」は苦手という声が多かったです。日本では鍋であまり使われない食材ばかりで、馴染みがないのかもしれませんね。
まとめ
これから台湾も気温が下がってきて鍋の美味しい季節になります。台湾の鍋料理は、豊富なバリエーションと独特の風味で、食べるたびに新たな発見があります。牛肉爐や麻辣火鍋など、それぞれに個性があり、どれも台湾の文化や風土を反映しています。日本の鍋とは異なる楽しみ方もあり、台湾を訪れる際はぜひ現地の鍋料理に挑戦してみてください。温かい鍋を囲んで、台湾の冬の味覚を満喫しましょう。